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傾向と対策

爆音で音楽が鳴ってるから聞こえねえよ

11.24 無題

KAT-TUN

 そのとき、わたしはバイトから帰る電車の中だった。出番までに帰ることは叶わないけれど、録画はしてある。なんの歌をうたうのかどきどきしながら、Twitterにはりついていた。

 そのとき、なにがおきたのかをわかるのに、しばらく時間がかかった。つぎつぎに流れてくる言葉にならない文字列を眺めながら、もしかしたら皆が望んでいたあの曲でもやるのかなと、暢気におもっていた。どうやら違うらしかった。

 そのとき、わたしはどうしたらいいのかわからなかった。ひとりでいると気が狂いそうだった。つぶやいていないと、爆音で音楽を聴いていないとだめだった。

 あさ目が覚めても、夢ではなかった。学校にいる間、友達といる時間は、すこしは気楽だった。大きな声で愚痴を言いながら、それを笑いに変えていたその瞬間は、空虚だっただろうし、迷惑だったかもしれないけれど、なんとなくその瞬間だけは心が穏やかだった。けれど、教室で、帰り道で、電車の中で、ふとした瞬間に、3人の残されたKAT-TUNのすがたが頭に過った。Twitterでちらりと見かけた、赤いコートをきてマイクを握りしめる彼のすがたが頭に過った。その度に震えを押さえるのに必死だった。拳をつよくにぎりしめてしまうくせがついた。泣くことができたのならどれだけよかっただろう。涙はそこまできているのに、いくらがんばっても一滴たりとも流れてくれない。

 わたしね、ついこの前、4人の名前がしるされた黒いカードを受け取ったばかりだったんだ。すごくうれしくてさ、4人を応援するってきめてさ。わたしが好きになったKAT-TUNは4人のKAT-TUNで、それ以上でもそれ以下でもなかったんだ。私が信じたのは4人のKAT-TUNだったんだ。この4人なら大丈夫なんだなあって、絶対大丈夫なんだろうなあって、ほんとうに漠然とだけど確信的にそうおもっていたんだ。少プレっていうすばらしい音楽ステージがみられる番組があって、タメ旅っていうおもしろくてかわいいKAT-TUNが見られる番組があって。KAT-TUNのファンって恵まれているんだなあって思ったんだよ。それがこれなんだ。わたしのKAT-TUNファン1年目はたのしくはじまったはずだったのにな。わたしは自分を呪いころすほかない。KAT-TUNのこと好きになってごめんなさい。

 これからどういう顔をして、KAT-TUNの出演番組を見ればいいのだろう。10周年にむけたここのところの加速は、なんだったんだろう。いま、どんな言葉を紡いだらいいのか、どんなふうに3人を応援したらいいのかわからない。いま、ネガティブな言葉以外で、じぶんの気持ちを表せない。

 わたしはできた人間ではないから、だれも責めないなんてできない。だれかを責めることでしか自分を保つことができない。だれも悪くないなんて言えない。だれのことも悪く言わずにうまくやっていく術を知らない。たのしいはずの歌番組がぶちこわしだ。たのしいはずの年末がぶちこわしだ。たのしいはずの10周年がぶちこわしだ。春までの残されたこの時間はただただ地獄でしかない。

 きみの人生は間違いなくきみのものだよ。でも、きみだけのものじゃあないんだよ。きみのこと嫌いになりたいわけじゃないんだ、どうにかして好きでいたいんだ。でもじょうずにできないんだ。きょうはたのしかったですか?って聞いていた田口君が大好きになったんだよ。DVDだったけど、アイドルに言われていちばんうれしい言葉だって、きみがたのしければわたしもたのしいよって、ほんとにそう思ったんだよ。でも、ごめんね、田口君。亀梨君や上田君や中丸君にあんな顔をさせたきみのこと、ずっとゆるさないからね。